富山市大沢野「造園家の家」現場監理


仕上げ工事に突入の現場より

2017.04.01

富山市大沢野「造園家の家」現場監理

今年の1月始めの寒い中に上棟をした「造園家の家」が、いよいよ本格的な仕上げ工事に入ります。毎週の現場監理で出た問題や、これまでに使った事のない仕上げに戸惑う職人さん達と一緒になって悩み考え、ようやくここまでカタチになったことが嬉しく、いよいよ大事な仕上げ工事に突入ということで、連続出張続きで軽くエコノミー症になりつつある肉体に喝を入れてやってきました。

この「造園家の家」のある富山市の南部に位置する大沢野は、雄大な立山連峰を眺められる、本当に素晴らしい環境のところにあります。しかし、自然豊かな環境であるが故に、冬の積雪や一年通して吹き荒れる風など…正に自然と人間の暮らしの共存の難しさを考えてしまう環境であります。

「山の天気は変わり易い」と登山をされる方がよく話される言葉ですが、僕からすると「大沢野の天気は変わり易い」と、そう思う程です。笑

そういった厳しい自然に負けない居住空間の快適性や、立山連峰の雄大なフォルムにも引けをとらないデザイン、自然と同じように経年する美しさと、経年しない強い素材のバランスなど…それらを強く意識して設計しました。

写真でおわかりになると思いますが、斜めにデザインされた外壁が、そのまま屋根になり鋭く軒に向かって伸びているのは、この方角は富山県と岐阜県との県境にある山から吹き下ろす強風に堪える為の角度であり、こちらが南面なので本来なら開口部を大きく取りたいところではあるが、風の脅威を優先して横長のサッシュを連続して設けるという答えを出しました。

内装は、居住部分は無垢の板張りに塗装、壁天井は塗装。パブリックゾーン(LDK)はイタリア製のタイルにベルギー製の特殊左官壁、天井は板張りの丸太梁は剥き出しのまま。そして極め付きなのは「造園家の家」だけに、職人であるオーナー自らの手による不揃いな石を丁寧に積み上げた「野面積み」です。

このフォーカルポイントというには、あまりにも強烈的に印象に残る、この石の壁は、エントランスホールである土間空間に施されました。

自然厳しい寒い冬は、ここに置かれた薪ストーブから温かい熱と、優しい炎の光がLDKに導かれ家族の心と体を温める。この石と石の隙間には、今年から小学生になるKちゃんのナイスは提案により、季節の花の一輪挿しをする。そんな厳しくも優しい表情の石積みを見てると心が熱くなります。すでに家族から愛情をたっぷり受けてますね。

同じ敷地内には、奥様が経営される40フィートのコンテナを大改装したトリミングサロン「BARBERDOG」またその隣はお姉さんが経営するドッグランが併設されたカフェ「CAFE RIMOTAIL」があり、彼が植えた緑が徐々に育つ風景をみながら時の移り行く早さを感じる一日でした。

この敷地での3棟目である「造園家の家」が完成したら、僕のここでの設計監理としては一先ず終了することになりますが、icaaとしてはこの素晴らしい環境、私達が手掛けた建物群、そして何よりも温かいクライアントの皆様との交流をこれからも続けていきたい…そんな思いで、色々とこれから企画を考えています。

とは言え、まずはいい建築を完成させないと始まりませんが。笑