時空の中の想像力


年輪宇宙

2018.03.09

時空の中の想像力

写真は宇宙空間にあるとある銀河…ではなく、木の年輪を拡大し、あるフィルターをかけた結果の絵です。不思議な感じがしませんか?大袈裟に言えば「木の年輪の中にも銀河を含む宇宙が存在する」感じです。純粋に大きな存在を感じます。

もともと年輪を見ると、過去が想像できます。例えば、比較的温暖な気侯であった一年だったときには年輪の間隔は大きくなりますし、過酷な気侯条件の一年だったときには、年輪の間隔は小さくなります。学者が研究すると、この年は、大きな台風があったとか、地震が起きたとか、いろいろ分かるようです。人間でも、その人が過ごしてきた時間を、「年輪を刻む」という表現がありますよね。

一方、宇宙に関しても同じことが言えます。宇宙空間ではよく「何光年、何万光年」という距離表現を使います。ちなみに1光年は、1秒間に約30万キロ進む光の速度でも、一年かかる距離のことです。宇宙空間には1億光年以上、つまり、光の速度でも1億年かかる距離から届いた光もありますからから、相当な広さですね。話を本題に戻します。つまり、宇宙において、遠くを見つめることは、過去を見ることと同じことになります。遠く1億光年先を見つめることは、1億年前の光を見ることになるからです。はるかかなたを見つめることと、目の前にある年輪を見つめ直すことが、同じ意味合いを持っていることに、とてつもない興味を感じます。

ところがもっと面白いのは、そんな科学的、物理的事実とは裏腹に、夜空を眺め、木の年輪を手のひらでなでながら人は、はるか未来や自分の将来などを想像したりします。ここまでくると何がなんだかわからなくなっちゃいますね。どうやら答えはヒトツではないようです。人は過去へも未来へも飛び立てるような気がします。

想像力。人間の最大の力。時間を超え、空間を越えたところにある思い。「木」、「宇宙」、そして「人」との不思議な三角関係は常に絡み合いながら私達にいろいろ教えてくれます。