場所は名古屋市緑区。今回のテーマで、この住宅のアクセントとなっているのは木貼りの大きな壁と、それ以外の壁のコントラストです。
これはオーナーのA様ご夫婦とも話し合いの中で三人三様の意見があり何度も繰り返し意見を交換し、その度にヒートアップした事が懐かしく思い出されます。『産みの苦しみ』のすえ、二階建ての住宅がほぼすっぽりと覆われる落ち着いた色目の杉板の大きな壁が存在感を放つ、家の顔ができました。
住宅の正面には玄関へと続く開口部のみで、前面道路からの視線を遮ることでプライベート性を高めた為一見クールにも見える佇まいではありますが、開口部に続くアプローチに敷かれた飛び石、木の風合いが柔らかな雰囲気を醸し出し、訪れる人を誘うようにも見えます。日が落ちて玄関灯が灯されると、優しい灯りに家の暖かさが伝わってくるようですね。
内部はほぼ平屋に近い二階建てのコンパクトな造りですが、リビングが一般フロアーより上がった場所にある『スキップフロアー』となっており、フロアーの天井高も床の変化に合わせて少し上げた造りになっています。
壁は白を基調としたもので採光を取り込み、床・階段・天井の梁を木で引き締めたことで空間に統一感を出し、全体が落ち着いた雰囲気となりました。また各フロアーで異なる梁が白地に木が映え美しく、張り方も異なっているので空間のアクセントにもなっています。リビングから伸びる階段は緩やかな木のスケルトンで、より空間に広がりを持たせました。
お引渡しの際には『こうすればよかった点が全く見当たらない!大満足です。』と最高の褒め言葉をくださったA様ご夫妻、これから家具が入り、植栽が植わってますます大満足のお住まいになっていくのが楽しみです。
設計監理: アイシーエー・アソシエィツ一級建築士事務所(名古屋) 撮影: 加納準