弊社の4番目の拠点として2014年5月に、富山県高岡市に開設した北陸スタジオ。なんと海外輸送用の40フィートのコンテナを改造して作られた非常にユニークな建築である。40フィートと聞いてピンとこないと思うのでサイズを書くと、長さ40ft(12.192m)×幅8ft(2.438m)。つまり帖数に換算をすると約17帖程度の広さになる。
コンテナを改造して事務所にすることを選んだ理由は、まず目新しく斬新な発想であること。それが他県から進出した我々、建築設計事務所として知名度を上げることにつながり、その存在感を示すことになるのではないかと考えた。この考えは狙い通りとなり、地元新聞社やテレビ局からの取材を多く受けることに繋がった。
次の理由は、スピード感である。新築の場合、それなりの段階の工事が当然必要になるので、工事着工してから完成するまでに、この規模であったとしても最低でも60日は掛かる。このコンテナ建築の場合は長く見積もっても段取りさえよければ30日もあれば十分である。それも大きな理由であった。
そして最後の理由はコストである。いくら小さくても新築で独立した事務所を設けるとなると、それなりの建築コストが掛かる。コンテナ建築の場合は、それを設置する基礎コンクリートとコンテナ代金(輸送費も含む)、簡単な電気工事と予算に応じた内装をチョイスすれば安価にて納まる。弊社の北陸スタジオは、そのコストの都合で断熱材を省いているので、夏は温度が60℃近く上がり、冬は底冷えという言葉が当てはまらない、まるで氷の上にいるような寒さである。
そんな自慢のスタジオではあるが、北陸スタジオとして13件も受注させて頂く会社のオフィスとしては手狭であり、上記にあげた快適性とは縁遠いスタジオなので、お客様の打ち合わせはご自宅か最寄りのCAFEやファミリーレストランで賄うようになり、オフィス作業のデスクワークに関しても業務の捗りを考えると限界があり、名古屋スタジオのスタッフが担当することにした。そう言った理由で北陸スタジオの利用頻度が極端に下がった。
この先、この北陸スタジオを利用するには、断熱材や強力なエアコンなどの設備を導入する考えもあるが、やはりコンパクト過ぎて業務が捗らないという理由からか検討をしなければならない。
北陸スタジオの将来像の話を夢と現実の微妙な部分でお話をさせて頂くと、CAFEを併用したスタジオで、弊社の建物の心地良さを体験できるゲストハウスのある緑に囲まれたロケーションがいいなと…
富山の「住」をイノベーションして、建築設計事務所をリードする存在になれるようこれからも頑張りたいと思います。
設計監理: アイシーエー・アソシエィツ一級建築士事務所(北陸)撮影: 加納準