昔から住宅が密集している東海市名和町エリアのこの土地に計画された「名和町の家」は、敷地形状がある意味スペシャルであります。
土地の面積そのものは狭くはありませんが、形状と道路接道に設計者の頭を悩ませました。いわゆる「旗竿敷地」や「延長敷地」などと言われています、道路から奥に敷地があり、その道路と敷地が接する寸法は法律より約20cmほど長いだけの2.2メートル。車を駐車してもドアが開かないぐらいの寸法となります。
そんな難しい形状の敷地にて家族3人が、「ゆったりと暮らせる家」をコンセプトにicaaが考えた答えは、吹抜けのある大きなLDKをプラットホームにした構成の家です。玄関を開けて、2〜3歩ほどのコンパクトな玄関ホールの扉を開けると、将来子供部屋になるであろう部屋の廊下も兼ねたアプローチ。そのアプローチ内で2段のスキップ階段を上ると、目に飛び込んできるのは、約20帖のLDK空間。20帖と聞くと、そう広くないと感じられると思いますが、大きな吹抜けもあるので体感的な空間のボリュームは相当のものです。
壁面収納型のパントリー、カップボード収納が、乱雑気味になりがきちなキッチンスペースをすっきりとさせ、シンプルなスケルトン階段が空間にアクセントを与えます。階段を上がった2階は吹抜けをL字に囲うように廊下があり、浴室・洗面脱衣室の水回りと、ご主人の書斎とウォークインクローゼットのある主寝室と、コンパクトでいて広がりのある造りとなっています。
どの空間からも家族の気配を感じ、お洒落なH様ご家族に楽しいんでいただける暮らしとなるよう、これからもそっと見守ってまいります。
設計監理: アイシーエー・アソシエィツ一級建築士事務所(名古屋) 撮影: 加納準