東西に長く広がる接道が大きな土地。最初に建築予定地を見た時の印象です。南道路で尚且つ、道路向かいの家が高い位置にあるので何も考えずにプランニングすると室内が丸見えになってしまいます。なので軒を大きめに持ち出し建物と一体化した塀を設ける事で視線をカットする事に成功しました。
T様のご要望は和のテイストをふんだんに入れて欲しいとの事でしたので、この軒は御要望とも合致し、建物に和の雰囲気をプラスする事が出来ました。そしてもう1つ大きな御要望が大きな通り土間。昔の日本家屋にはあったような通り土間ですが、最近ではお目にかかる事も無くなってきました。建物内部ではこの通り土間がプラン上の大きな要素になり、実際に出来上がった土間は東西に長い敷地を活かして、13M以上の大きな通り土間となりました。この通り土間に薪ストーブを設置し、庭と室内を緩やかにつなげ、式台が腰掛けになり炎を楽しむも良いですし、大きな荷物の一時的な保管場所になったり、多目的に利用する事ができます。
キッチンは無垢の一枚板のカリン材を加工した世界で1つのキッチンです。実際に材木置場まで無垢板を探しに行き、そこで決めた材をキッチン天板として採用しました。
この通り土間やキッチンの曲がりは土地の形状をそのままを活かしていまして、建物本体と共に変形敷地に沿うように配置し、素直に建物を並べています。
LDKはあらゆるところに視線が抜けるように工夫しつつも全ての部屋と繋がっています。庭は勿論の事、吹抜けに面したスタディコーナー、その奥のお子様の部屋、通り土間奥のゲストルームや水回り、個室以外では明確な区切りがない為に広がりを感じることができます。
外構計画もしっかりと考え設計段階から駐車場の仕上げや植栽なども計画に含め進めてきました。写真を撮った時期にはまだ葉が少ないですが、月日を追うごとに鮮やかな緑に包まれていく事でしょう。
設計監理: アイシーエー・アソシエィツ一級建築士事務所(名古屋) 撮影: 加納準