名古屋市千種区の当地に創建された「覚王山日泰寺」にちなみ、仏を敬う呼び方である「法王」を町名とした法王町。格調高いお屋敷が立ち並ぶ場所にこの「法王町の家」は建築されました。
ご実家の横の駐車場として利用させていた三角形の狭い土地に、車&バイク好きなオーナー様の趣味の車達を収め、2階と3階を居住空間として計画を進めました。
敷地を分筆し、ご実家と計画する建築のそれぞれの法規制を確認しながらの設計作業。1階が無柱の大きな空間を作る必要がありますので、必然的にコンクリート造となりました。(壁式工法)その上に、木造在来工法の二層構造を載せた混構造建築です。
多趣味のオーナー様のこだわりポイントとして、味わい深い素材感、どこか懐かしくも感じるテイスト感。意匠的にあまり多くの素材を使わず、際どい造作もなるべく避け、普通にオーソドックスな考えをベースにしました。
とは言え、オーナー様の支給された名古屋市では有名な中日ビル(解体中)の内部に使われていた、ソファーや家具、照明や重厚な木製ドアも2本支給されたり、普通では無いディティールや加工に気を遣いました。
外壁はセメント製のSOLIDの鉄黒の鎧張り。内部は元々あった桜の樹を製材してオブジェ的な部分に使用したり、主寝室の天井にはクラシカルなレリーフ柄の材料を張り込んだりしました。
シンプルなこの家が、この法王町の町に溶け込み、徐々に美しく経年変化をしていく様子を楽しみにしていきたいと思います。オーナー様の個性とまるで同じような建物。クールで味わい深いこの家で楽しく生活をなさってください。今後ともよろしくお願いいたします。
設計監理: アイシーエー・アソシエィツ一級建築士事務所(名古屋)