私と同世代ということもあり、自分自身の暮らしとお客様のイメージを重ねては調整をしながらプランニングを行いました。
打合せの中で、ご夫婦の価値観やこれまでの生き方、好みなどを把握しながらの楽しい作業でした。
色々なモノに対して「いいもの」をよく知るご夫婦ですので、単に機能的で綺麗というだけではご納得いただかないかと思い、プレゼン時にわかり易いイメージのご提案をしたのがイタリアを代表する高級ラグジュアリーメーカーのMASERATIです。
少し前に完成したと思っていました昭和区の今回リノベーションを行うマンションですが、時が流れるのは早いもので約20年経過。
小さかったお子様も成長され、ライフスタイルが変化した事や、今後のご夫婦の将来的な暮らしを見据えて、思い切った全面リノベーションという運びとなりました。
私と同世代ということもあり、自分自身の暮らしとお客様のイメージを重ねては調整をしながらプランニングを行いました。
打合せの中で、ご夫婦の価値観やこれまでの生き方、好みなどを把握しながらの楽しい作業でした。
色々なモノに対して「いいもの」をよく知るご夫婦ですので、単に機能的で綺麗というだけではご納得いただかないかと思い、プレゼン時にわかり易いイメージのご提案をしたのがイタリアを代表する高級ラグジュアリーメーカーのMASERATIです。
*プレゼンテーション時にご提案したスケッチ
私自身、MASERATI社の車が大好きで、この車の世界観に惹かれを5台乗り継いできましたので、この車の良さ悪さはよく理解しています。
一番の魅力は単に高級素材を使うということだけでは無く、際どい組み合わせや造形美です。それらは一般的に「セクシー」や「危険な香り」など表現されていますが、その言葉そのものが所有者の心を擽ぐるポイントでもありました。
それ以外にも走りは2基積んだターボの加速はまるでジェットコースター。悪い点は少しの段差で反対車線に飛んでいきそうになるぐらいのバウンド。
ドイツ車は「路面に食いついて走る」という表現をしますが、イタリア車は「路面を滑るように走る」と言われているぐらいです。
当然のように故障が半端ではないぐらいあります。一年間の約半分は整備工場で眠っていました。それでも手放したくない程の魅力的な車でしたので、車も所有者も尋常ではない感覚となります。
さて、今回のリノベーションのポイントは、元々3LDKであった空間を、LDKを大きくした2LDK+DEN(書斎)に作り替える事です。
*以前に乗っていたMASERATI ロイヤル
それに合わせて水回りは全て新たに交換としました。LDKの中心的な存在であるキッチンは、当然オーダーキッチン。既存の給排水の位置(縦シャフト)が決まっていましたので、キッチン部分のみをステージの如く上げ床にして調整しました。
*解体後の現場の様子
*タイルを張り上げた現場の様子
それに合わせて、カップボードやバックキャビネットなど造作家具とし、キッチンと一体となるようにコンポーネントデザインとしました。洗面脱衣室もオーダーでキャビネットやリネン収納など造作家具にてすっきりと機能的にデザインをしました。
今回のリノベーションでは空間の質を高めるのと、まるでホテルに滞在しているかの如くラグジュアリーな品質の素材をチョイスしました。設計士とコーディネーターの意見を調整しながらの作業ですが、見事に意見が一致しましたのでスムーズにセレクトが出来ました。
玄関から廊下、書斎、洗面脱衣、LDKは全てイタリア製の600*300の磁器質タイルを採用。真鍮の見切りを随所に入れたりと凝った作りとなっています。
壁はラグジュアリー感のあるクロスと、セルフビルドにて塗ったメタリックなポーターズペイント。壁から持ち出されたオーディオボードにはレザーを張り上げました。
*サンプル素材にてコーディネートをする様子
照明は全体照明としては3箇所に取り付けられた間接照明です。先程、説明をしましたキッチンのステージの足元、天井を照らす照明、そしてポーターズペイント部分を照らす間接照明です。この間接照明の灯りだけで十分照度が取れています。
そして、今回LDKと同じぐらい力を入れたのが書斎です。LDKと比較すると、とても小さな空間ではありますが色々な要素が詰まっていて、この空間こそが先述しました「MASERATI」的な危ない空間となります。
デスクや棚板は全てレザー張りとし、正面には経年変化をした銅板のようなテクスチャーのリアルデコ。
当初予定はしていなかった壁面には、ヴィンテージ感の強いスライス煉瓦をオーナー様ご夫妻の手によるセルフビルドにて張られました。
当然、プロの仕事ではないので目地の処理はとても男性的で荒々しく、良く表現をするならば「危険な香り」に仕上がりました。
*セルフビルドのスライス煉瓦の施工写真
今回のリノベーションが、これからの暮らしをより良くし、時にはスパイスのような刺激を感じてもらえるようになればと思います。
これからも末長いお付き合いを頂きますようお願いいたします。そして、ありがとうございました。
設計監理: アイシーエー・アソシエィツ一級建築士事務所