弊社の通常の受注は、お客様から「指名」を頂き設計監理の注文を頂いていますが、今回はコンペティションによる受注となりました。コンペティションとは、複数社で競う設計競技でして、このような設計参加は、社歴22年、400件の実績を振り返っても6回程度しかなく、久しぶりの参加となりました。
建物の用途は、三重県桑名市の鋳造製造メーカーである会社が製造する「鋳物」を一般の方々に広く知ってもらう機会を設ける為の施設です。平たく言うと、「鋳造体験工房」です。建物自体はとてもコンパクトで17〜18坪程度の平家建て、構造体は木造在来工法をご提案いたしました。
コンセプトは、この企業の扱っている鋳物をモチーフにしたいと思い、当初のエスキース段階では計画はしましたが、それを具体化するには読めないコストと手間が掛り、実現性を考えると難しいと諦め、今回は素直に施工が出来る案としました。
前面に出したのは、弊社の設計コンセプトである「ヴィンテージ&ラグジュアリー」なスタイルです。コンパクトでありながら、要所要所にヴィンテージ感溢れる材料や、素材の組み合わせによるラグジュアリー感。いつものシャープでエッジを効かせた納まりです。
安定感のあるデザインと味わい深く親しみのある「凛とした」表情を意識してデザインをしました。内部は多目的に使用することを念頭に、フレキシブルに変化ができるよう、極力シンプルにし、弊社のデザインや考え方を最大限に提案をしました。
桑名市の伝統的な産業である鋳物。それらを通して、市民や近隣の多くの皆様に御来所いただき、末永く愛される建築になって欲しいと思います。
設計監理: アイシーエー・アソシエィツ一級建築士事務所 撮影: 加納準