敷地面積約9坪、道路以外の3方向は隣家で囲まれた狭小地。高さ制限においても厳しい地域で、建築上の立地については決して良いとは言い難い敷地でした。しかし、この場所に決めた理由は、それに増す環境の立地の良さかあったから。と、ご家族の暮らしをこの立地環境に合わせたスタイルにしようと意気込むK様。そんな、ご家族の常に前向きな姿勢に、こちらの提案意欲も増した記憶があります。
狭小地と聞くと、隣家が迫り、最高階はばっさり切られたペンシルハウスを思い出す方も多くいらっしゃると思いますが、元気な男の子が2人いらっしゃったご家族には、平面も高さも小さく仕切った部屋数は窮屈と判断しました。部屋の代わりに、通常、家の一番高いところに位置するロフトをリビングに面する中二階にたっぷり作り、使い勝手もよく、将来的には個室となる可変性のあるフリースペースとしました。
お子様が小さいうちは遊び場として、部屋が必要な時期となれば奥から順に個室として、中二階という家の中心に位置するため、物置スペースとしても利便性抜群。ロフトの高さ分、リビングの天井高さに解放感が出たりと、良いこと尽くしのスペースとなりました。
竣工お引渡しのあと暫くして新しく3人目のお子様も増えたとお聞きし、狭小地での大きな暮らしを実現されたご家族の様子に嬉しく思うのでした。
設計監理: アイシーエー・アソシエィツ一級建築士事務所(横浜) 撮影: 加納準