土地探しからの旅「トチタビ」からお手伝いさせていただき、お施主様が挑戦状のように持ってこられた情報が今回の計画地となりました。もともと古屋があったというこの土地。確認した際は更地の状態ではありましたが、前面道路からは3mほど下がった5角形の変形地、土地の奥は10mほどの崖地となっていました。
現地を確認した瞬間に、開発許可や造成方法、地盤の強弱等の不安要素ばかりが頭を過ぎりましたが、日当たりや景色の良さ、売買価格に対する魅力は否めないものでした。現地調査の後、急いで事務所へ戻ってプランの構想を練り、その際に気に入っていただいた形状のままで無事に完成まで至った際は、設計士としても感慨深いものがあったことは言うまでもありません。
土地の持つデメリットは建物でメリットに変えてしまおうという発想から、前面道路からの高低差は、駐車スペースとアプローチ部分のみを造成し、2階からアクセスできるようにしました。そのおかげで、外観は平屋のようなシンプルな正方形の佇まいを実現し、玄関から続くリビングへの扉を開けると、外観からは想像できない景色が家族や来客を出迎え、LDKからは宙に浮いているような感覚になるほどの眺望を愉しむことができるようになりました。
設計監理: アイシーエー・アソシエィツ一級建築士事務所(横浜) 撮影: 加納準