富山という土地柄と、オーナーのM様の個性もあり「男たるもの持ち家を建てて1人前」という熱い想いを昔から心に秘めていたという。そんなM様と私たちとの出会いは、ある朝偶然見かけたTVCMでした。
前々から家を建てたいと思っていたがなかなか実現できずにいた時に、偶然見かけたCMに運命を感じたのだと笑顔で話してくださったのが思い出深いです。
そんなM様の希望は、まず以前から憧れていたというインナーガレージの設置、そして1階にLDKがあることでした。
北側の公道に面する敷地の為、道路から多くの採光を取り込む必要がなく、あえてプライバシーを重視して極力開口部を少なくしました。その一方南側に設けた庭やテラスには大きな開口部を設け、一歩家に入った時のギャップ感を意識してプランニングしました。
インナーガレージは車2台とバイク1台分を確保、雨風雪に当たらず家の中から車までの行き来ができるようにしました。
そんなガレージともつながる玄関を入ると、落ち着いた黒いタイル敷きのLDKが広がります。空間のアクセントのためスキップフロアーを採用し、一段上がったところにリビングを設けました。
リビングの床下はガレージのストレージとして活用でき、オフシーズンのタイヤを収納するなどデッドスペースも有効活用できるようにしました。
リビングの壁面にはベルギー産の煉瓦を貼り、全体の雰囲気は重厚感のある落ち着いた雰囲気で、この先何十年後も色褪せない空間にまとまりました。ライティングにも拘っており、夜の風景はまさに威風堂々という言葉がしっくりくると、オーナー様もお気に入りだそうです。
対面式のキッチンの腰壁はモルタルで仕上げ、奥にはゆったりとしたパントリーを設けました。そのパントリーにはミセスコーナーを設け、キッチンの主役である奥様の書斎兼憩いの場所を作りました。そこからは庭のグリーンも望めるので忙しい家事の合間にホッと一息つける場所となりそうです。
2階部分はプライベート空間ですが、お友達の多いM様ご夫婦は自宅でもバーベキューを楽しみたいと、2階バルコニーは10メートル以上もスパンのある広々設計。各部屋からもバルコニーに出ることができます。
テラス・バルコニーともに桜や紅葉などが植えられ、四季折々の風情を楽しむことができます。
今回提案した色や素材は、M様ご夫婦には良い意味で一歩背伸びしたものとなりました。少し渋めのラグジュアリー感溢れる空間を目の当たりにしたM様は引渡しに間に合うように車もレンジローバーに乗り換え、ご自身も雰囲気を少し大人な出で立ちに変えてしまうほどでした。
まだまだ小さなお子様2人とご夫婦で存分に暮らしを楽しんでいらっしゃる様子です
設計監理: アイシーエー・アソシエィツ一級建築士事務所(北陸) 撮影: 加納準