愛知県長久手市の閑静な住宅街に既存の住居横に増築として建設した住居。
多趣味なI様は趣味の時間を存分に愉しむことのできるスペースを希望され、無駄なものを省いた建物自体がキャラリーのような住宅となりました。
コンクリート打ちっ放しの外壁の奥に長い建物で、木製のルーバーで覆われた玄関アプローチとシャッターがアクセントとなっています。大切な車を収納、整備を行うガレージ内部もコンクリート、あえて鉄骨や梁などむき出しにし、収納ができる大きな下部ピットと二階へ続く階段踏み板はグレーチングを使用しシンプルでスッキリと収納が可能で、はめ板を全て外すと車体に潜ることなく作業を行うスペースとして利用することができます。効率的なだけではなく、荒々しく男前な設えです。
奥行きのある一部吹き抜けとなったガレージは開放感がありステンレスのシンク付きのゆったりした作業スペースが確保されています。
グレーチングの階段を上り同材の廊下を渡ると趣味を楽しむ部屋に通じます。ガラス張りの室内に仕切られた木材が空間のみならず気分も切り替えてくれるようです。
2階の趣味の部屋はコンクリートに木。床はヘリンボーン張りされ、落ち着いた雰囲気で、大好きな楽器や音楽を心置きなく楽しめる空間になっています。ここから見えるガレージもまたショールームを覗くような眺めなのではないでしょうか。
玄関から入りコンクリートの壁面のアプローチを抜けるとパターンタイル貼りの中庭に出ます。この部分は吹き抜けになっているので奥にあるキッチンに採光を取り込むことができます。
前面の雰囲気とは一変したここからのエリアは白を基調とした清潔感あふれる空間になります。テラスから続くパターンタイルの床に白を基調とした造作キッチンで、意匠性の高いカランや取っ手が目を引きます。
トランスペアレントなアイテム、フィリップ・スタルクデザインのヴィクトリア・ゴーストの椅子がとてもよく似合い、透明感があり風が抜けるような爽やかさを演出されています。
飾り棚には自慢の可愛い小物を置くことができるます。ご夫婦が各々好みの空間で趣味に没頭することができる。なんとも羨ましくなるような建物です。
設計監理: アイシーエー・アソシエィツ一級建築士事務所(名古屋) 撮影: 加納準