国道に接している敷地は道路から3メーターほど高台になっており、その上段に、一段とその存在感を高めている「有松の家」はあります。土地購入前の段階から施主のY様からは相談を受けており、最終購入に至るまでも、慎重に計画を進めておりました。
いわゆる併用住宅で、1階の一部には事務所スペースが有り、その他が住居スペースになっております。1階部分の構造は、コンクリート造となっており、仕上げも、打ち放しとなっておいます。コンクリートの持つ重量感とクールさを全面に出しています。その上に、自然な感じで木造部分が乗っかっておりますが、構造の種別など全く関係なく感じる一体感が出ているのではないでしょうか。ボックスを組み合わせたモダンスタイルのシルエットの中に、やはり、シンプルだけではないコーディネートを施しており、また、全面と中庭には植物を配置し、無機質になりがちな空気感に潤いを添えています。
エントランスホールは、階段スペースを大胆かつドラマティックに演出するオープンスタイルになっております。事務所スペースとの共有中庭が広がっていますが、事務所の存在感はなく、独特の雰囲気を醸しています。2階のLDKスペースはワンルームになっいて、天井高に変化を加えることによって、それぞれの居心地を確保しながら間接照明での演出効果もあります。開口部も、その形状から4方にわたって配置されており、それぞれのスペースから外部を取り込むことができています。高台であることもあり、その見晴らしは最高で、南の隣地のグリーンスペースも借景しており、交通量の多い道路沿いとは思えないほどの開放感と落ち着き感を持ったスペースになっています。
内装は、安心感のある、しっとりとしたコーディネートでまとめ、白々しさのない、落ち着いた雰囲気になっています。造作ドアに施した金属塗装の風合いも、その空間にマッチングしており、強すぎないラグジュアリー感を出しています。どこか別荘的な感じもあり、家族みんながゆったりとできる空間ができたと思います。ごちゃごちゃ感のないシンプルな家具レイアウトになっていますが、徐々に、Y様の想いの詰まったアイテムで彩られていくことになりそうです。定期的に訪問させていただき、それらを楽しみにしたいと思います。
設計監理: アイシーエー・アソシエィツ一級建築士事務所(名古屋)