try-angle-house 静岡県焼津市

  • 家族構成:夫婦+子供3人
  • 構造:鉄骨造平屋建て
  • 敷地面積:928.04㎡
  • 建築面積:121.25㎡
  • 延床面積:121.25㎡(36.67坪)

静岡県焼津市。自宅から車で2時間のこの場所にTry-Angle-Houseはある。焼津といえば、マグロにカツオなどの魚の町という印象と、なんとなく漁師的な腕っぷしの強い荒くれの多い街というイメージしかなかったが、今回の計画で通い詰めた結果、それはたった一部の正解でしかなかった。温暖な気候に、豊かな自然、高い利便性もありながら、恵まれた食材の多彩さ、出会う方出会う方すべていい人ばかり。暮らすということから考えると、かなり魅力的に感じた。いつか、ココに住みたいとさえ思えた。そんな焼津、そしてTry-Angle-Houseのオーナーとの出会いには、感謝の気持ちで一杯だ。

オーナーは、広大な敷地の広大なお屋敷で育った。いわゆる日本の民家だが、どうも気に入らなかったらしい。いつか、自分の好きな空間での生活を夢見ていたと、後々ではあったけれど、教えてくれた。オーナーの希望は、私たちの横浜スタジオの雰囲気にしてほしいということだった。横浜スタジオは、横浜市青葉区にあるが、とても市内とは思えないほどののどかな場所で、かなり古い倉庫のような建物をリノベーションしたもので、新築計画にそのまま持ち込むことは、第一面白くないし、意味もないし、オーナーもそういう意味での希望でないはずだと感じたので、雰囲気などは意識しつつも、新たな気持ちで設計に臨んだ。

 

オーナーは家を建てることが夢だったので、そのために、すでに家具などを収集していた。ほとんどは、ミッドセンチュリーな名作ものだった。実は、そのコレクションを、奥様はご存じないという事実が発覚し、私一人、ちょっとドキドキしたことを覚えているが、奥様も、「へぇ~」という感じだったし、ご主人も、そもそも隠していたという感覚でもなかった。懐の深い、最近では珍しい夫婦かもしれない。

それはともかく、そのため、それらのインテリアアイテムを、リズミカルに配置できるようなスケールを考えた。折角の家具たちもゴチャゴチャと並んでは元も子もない。床面はタイルが似合うし、薪ストーブも必須だと思った。ただただ綺麗でおしゃれな感じにならないよう、「遊び心」と「らしさ」を出そうと思った。用途を分けた二つのリビングや、玄関から入ると建物の全長(25メートル)を見通せるような視線、華奢なトラスや、巨大なウッドデッキの中庭や、屋根の上の芝生などもそんな考えから生まれた。ちなみに、建物が完成すると、役所の検査員が完成後の検査に来るのだけれど、そのとき、その部署のトップの人が来て、「検査には全く関係ないですけれど、屋根に上ってみてもいいですか?」と言われた。「いいですけど、落ちても知りませんよ~」なんて返しながら、「おぉ~」という感想の役所の方の声を聴きながら、気持ちがよくなったのを思い出す。

それもともかく、肝心のオーナーは、「雑草でボサボサにしたいな~」なんて、当初は言っていたけれど、実際に芝生が貼られると、あまりに綺麗なので、結局は、一生懸命草むしり(あと、なぜかキノコが大量に生えるらしいので、その除去も…)に取り組むことになり、朝、早起きになったという。これは自分的にはいいことだと思うのだけれど、皆さんはどう思うのだろう…

実は、計画当初から、水庭も提案していた。一時は却下された。維持が大変そうだからという理由だった。そうかなぁ~こうすれば…なんて思いながらも、自分の中でも頭から消去していた。が、現場も中盤から終盤へと差し掛かる頃、オーナーから、「やっぱり水庭…あってもいいかもです…」という小さな声。「わかりました!」としか答えるわけもなく、すぐに位置と形状を考えた。三角形で、屋根からくる雨水を利用した。玄関脇にも小さな水場を作った。これは意外と効果的になったようだ。

おしゃれでモダン、無口な建物、もしかしたらスタート時点ではそうだったかもしれない。ただ、担当した私は無口じゃないし、建築行為その過程すら楽しもうとするタイプだから、結果、こういう盛りだくさんの遊び心に溢れたのは、必然かもしれない。家つくりは過程が楽しいと、その後の暮らしも、必ず楽しい、それは、間違いないでしょう。

設計監理: アイシーエー・アソシエィツ一級建築士事務所(静岡)撮影: 加納準

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