味わい深い痕跡


経年からくる魅力

2017.07.18

味わい深い痕跡

時間経過により味わいが深まっていくような質感に惹かれます。トップの写真は、nu bldg.の1階にありますcafe「DooLittle」のテーブルの天板です。nu bldg.のオープン時に僕が製作したものです。材料は古材。知る人ぞ知る伊勢ハンドワークベースと名付けました我がセカンドハウスの壁と畳下の床に貼ってあった古い古い木板です。

剥がしたこれを、ひたすら磨き上げ、バラバラの寸法のモノを、できるだけバラバラのままで貼付けたものです。汚いと言われればそれまででしょうが、僕的には、そのシミ、傷の一つ一つが、魅力ある質感に感じます。いまだに、cafeのお客様から、「どこで購入されたものですが?欲しいです。」との声があると聞くと、それはそれで気持ちのいい気分にもなります。

そして、十字型の信楽焼のタイル。これもnu bldg.のオープン時からある壁面ですが、色あせることなく、空間を彩っております。山の斜面に降り積もる落ち葉をイメージたものですが、当時、左官屋と佐々木と僕とでせっせと貼った思い出がありますから、より味わいを深めているかもしれません。

できる限り均一で清潔でクレームレスな商品を求める時代の中で、アンチテーゼともいえるこの風合いは、僕たちの考える建築においてはとても重要なポイントでもあります。奥行きがあり、想像力をかき立て、変化を恐れず主張する質感は、住空間において、かなり効果的な要素となるでしょう。

建築素材ではあるものの、刻々と変化を続けるような、生き生きとした植物のような、そんな建築空間が設計できたらと思っています。