Yokohama Honky tonk


横浜スタジオ「icaa夏祭り」前日

2016.08.27

Yokohama Honky tonk

ホンキートンク(honky-tonk)って言葉を聴いたことあるかな?ネットで調べてみると、安酒場や安キャバレーを指す意味や、アメリカ南部の安酒場でよく弾かれる独特なピアノの演奏スタイルと出てきた。何故、ホンキートンクという意味を調べてしまったのかと言うと、僕は車で横浜に入ると、必ずと言っていいほど、ある曲を聴く。

それは松田優作が歌う「横浜ホンキートンクブルース」なんだけど、実に痺れる歌声と、不良な大人な歌詞がとても粋で、まさに松田優作そのものを歌にしたような曲なんだよね。作詞は藤竜也で作曲はエディー播 最高の組み合わせのメンバーで構成された横浜というイメージを代表する歌だとそう思っている。僕はこの街に入った喜びと、異国情緒溢れる魅力的なこの街に対して、横浜スタイルをイメージして行動したいとの思いが、何故かそうさせてくれる。

今回、横浜入りしたのは、明日横浜スタジオにて開催する「icaa夏祭り」に参加するために来たんだけど、夏祭りという言葉が似合わないぐらいの涼しい横浜。そんな秋の気配を感じる横浜を愉しもうと少し街中を歩いた。

まず立ち寄ったのは、「横浜情報文化センター」旧・横浜商工奨励館(昭和4年に関東大震災により打撃を受けた市内商工業界の復興事業として建築)。この建物の2階にあるカフェの窓から眺める風景がとても横浜らしくて好きだ。この周辺には神奈川県庁や横浜地方裁判所などの数々の歴史的建造物があり、大きく育った街路樹もいい風景の役割を果たしている。ヨーロッパの街角に立ったような感覚に近いんだよね。

この場所に車を乗り捨て、大桟橋埠頭に歩く途中にある、水上警察あたりのカフェや雑貨屋、松田優作が出てきそうな雰囲気の壊れかかった古いビル。「みなとみらい」エリアの近代的で明るいイメージとは正反対なこの場所から、象の鼻、赤レンガ倉庫を通して見える新しい横浜の風景は僕のとっておきの風景ベスト5に入っている。(ちなみにベスト5のうち、3つは横浜なんだけど)

そんな風景を見た後は、山下公園の「赤い靴を履いてた少女像」の前を通り、ニーグランドホテルの前に出る。船の汽笛の音、岸壁にあたる波の音、潮の香り、氷川丸の軋む音…全てがこの瞬間に同時に聞こえる様は、まるで映画の世界に感じて興奮してしまう。

そしてニューグランドホテルの前を通過すると、横浜中華街の派手な門が見える。さっきまでのヨーロッパ的に風景とは全く異なる異次元の空間へ誘いといった感じだよね。ところ狭しと軒を連なる中国料理店や中国雑貨店、人口密度が急に上がって歩くのを戸惑っている暇がないぐらいに押し寄せ、当たる勢いで歩く人人人…

そんな混雑を逃げるように入った、いつもの中国料理店で食べる飲茶。たどたどしい日本語でメニューを伺う店員と、完璧なレイアウトと味付けで出される飲茶を食べると広がる中国大陸の風景。

この横浜は日本でありながら、色々な国の風景を楽しめる素晴らしい都市なんだよね。設計という仕事は、常に感性を磨きながら新しいモノや古いモノを同時に考えて答えを出すような仕事でもある。そんな感性を磨くには、横浜という街は僕にとって教科書の中を歩いているようなところかな。いつかはこの街にどっぷりと浸かりたい、そんな夢を見ながら、まるで夢遊病者のような表情で歩いていたのかな…横浜ありがとう。じゃあ