海のそばで暮らす

2016.07.01

海のそばで暮らす

この建築模型の写真は、かれこれ今から10年前の2006年に海の近くの架空の敷地をこの計画地と見立て割と真面目に考えたシンプルな別荘計画です。とにかく海への憧れがとても強くて、海のそばで暮らしたい。波の音をづっと聞いていたい。心でいつも感じていたい・・・当時はそんな思いでいっぱいだったのを記憶しています。(今でも変わりませんが。笑)

僕の生まれは三重県津市というところで、三重県の県庁所在地とはいうものの、自然豊かな田舎です。学校の帰り道は川や池で釣りをしたり、入って遊んだり(それで足の裏を割れた瓶が刺さり大怪我もしましたが)近くの海で貝殻や流木を集めたり、ボーと海や空を眺めたりしている、そんな少年でした。

今でこそ話せますが、当時 大工の父親と僕とで夏休みの土曜日は決まって開催される「夜店」に出掛けたとき、親子そろって「ベトナムの方ですか?」と日本語で尋ねられた記憶は今でも鮮明に覚えております。つまり、それぐらい外で遊びほうけて真っ黒だったという話だけですが。

話を戻しましょう。僕は脱線のプロ中のプロでして、お客様と設計打合せの大半は雑談と化してしまい、スタッフからよく怒られますが、いつも僕はこう言います。「この雑談の中に大きなプランのヒントが隠されている」と。実際は単なる雑談ですが。

また話がそれましたね。そう「海」です。

その憧れがついに実現化する時が、丁度このあたりの2006年にありました。三重県志摩市に小さな別荘を設けるのに相応しい敷地を購入しました。どの道から入っていいのか迷うぐらいの細い道。奥へ奥へ進んでも見えるのは道路いっぱいに多い茂った樹木と草だけ。しかし、それを抜けた瞬間、目に飛び込んでくるのはリアス式海岸特有の険しい岩・岩・岩。その岩にぶつかる波・波・波

海のまん前のフロント敷地(実際は更地があるので三番目ですが)から見える風景はキラキラ輝く大きな太平洋と、砂利の小さな砂浜と少し先の灯台だけ。実は、この浜では伊勢海老や鮑も潜れば採れるようで地元の漁師さんからは漁業権が無いので採るなと言われるほどの穴場です。

風景を言葉で表現するのが難しいので、例えるなら「どこかの映画会社の始まりの映像的な感じでしょうか。面倒なのでそう想像してください。

その敷地に週末だけ過ごす小さな別荘プランを計画しましたが、未だ納得できるプランが出来ません。時は10年が経ってしまい、当時40歳だった僕も50歳になるというのに。これから考えるプランはバリヤーフリーになるのでしょうかね。

ゆくゆくは自分で設計した海のそばの小さな家で、犬とのんびりと暮らす・・・そんな憧れをカタチに出来たら最高ですね。つたない文章を最後までお読みいただきありがとうございました。じゃあ

模型正面より当時計画した模型目の前の浜