今回はこの古くてあまり使われなくなった別荘の建て替え計画です。なるべく今の敷地に植わっている樹々などの自然を壊すことなく、上手く計画をしたいので次回はスタッフを引き連れて既存樹木位置調査となりそうです。
この計画の僕のイメージとしては(今のところ)水平を強調した軒の深い平屋のシャープなデザインで、近づく人に妙な緊張感を与えてしまうようにも見える、錆びた鉄板を重ねるように張り上げた外壁と、重厚でかつ美しい経年変化を魅せるイギリスのヴィンテージ煉瓦壁。
メインドアはやや重いかなと感じてしまうような鉄の扉。これはBiturbo時代のMaseratiのアクセルを彷彿とさせる作りだ。つまり、生半可な気持ちではこの扉を開けるなよというメッセージを潜ませている。そして開口部はエッジを効かせたスチール製アングルサッシュの組合せ。
この緑に囲まれた趣きのある美術館のような佇まいの空間に、オーナーの家具やアートのコレクションが静かに鎮座する。この建物のカテゴリーは何にも属さない。まるで、denim shirtにタキシードを軽く羽織ってしまうような粋なスタイルって感じになるのかな。
風に揺れる樹木の枝や葉が、室内に美しい影となって現れ、パチパチと爆ぜる音の暖炉の前に置かれたAntonio CitterioデザインのFLEXFORM製パーソナルソファに身を沈めながら琥珀色の液体を喉に流し込む。