森の中で暮らす家(長野敷地調査)

2016.07.04

森の中で暮らす家(長野敷地調査)

移動に継ぐ移動で、現在どこに居るのかはスマホの位置情報サービスを見なければわからない佐々木です。(嘘ですが)

先週の木金と千葉県船橋市往復し、翌日の土日は長野県往復。明日からの火水は富山県と、移動の激しさはピークになりつつあり体力的には厳しいですが、精神的にはまだまだ余裕はありますので多分大丈夫でしょう。

さ て、その長野に別荘地の敷地調査に行ってきました。名古屋から中央道、長野自動車道を経由して片道286km。長野市と言ってもあと少し走れば新潟に近い という、市内から車で30分足らずの風光明媚な別荘地です。細くて勾配の急な坂道を登ること数十分。標高1,000メートルのところにある大きな敷地の別荘地には、多分 建築後40年は経っているであろうヴィンテージ建築がポツンと佇み、まわりにはいい具合に配置された白樺の雑木林。

今回はこの古くてあまり使われなくなった別荘の建て替え計画です。なるべく今の敷地に植わっている樹々などの自然を壊すことなく、上手く計画をしたいので次回はスタッフを引き連れて既存樹木位置調査となりそうです。

この計画の僕のイメージとしては(今のところ)水平を強調した軒の深い平屋のシャープなデザインで、近づく人に妙な緊張感を与えてしまうようにも見える、錆びた鉄板を重ねるように張り上げた外壁と、重厚でかつ美しい経年変化を魅せるイギリスのヴィンテージ煉瓦壁。

メインドアはやや重いかなと感じてしまうような鉄の扉。これはBiturbo時代のMaseratiのアクセルを彷彿とさせる作りだ。つまり、生半可な気持ちではこの扉を開けるなよというメッセージを潜ませている。そして開口部はエッジを効かせたスチール製アングルサッシュの組合せ。

この緑に囲まれた趣きのある美術館のような佇まいの空間に、オーナーの家具やアートのコレクションが静かに鎮座する。この建物のカテゴリーは何にも属さない。まるで、denim shirtにタキシードを軽く羽織ってしまうような粋なスタイルって感じになるのかな。

風に揺れる樹木の枝や葉が、室内に美しい影となって現れ、パチパチと爆ぜる音の暖炉の前に置かれたAntonio CitterioデザインのFLEXFORM製パーソナルソファに身を沈めながら琥珀色の液体を喉に流し込む。

白樺の雑木林伊豆の別荘にて(伊豆アトリエ)古いMaseratiの内装

大きなリビングの奥で、鈍く光るステンレス製のシンプルなキッチンからは、匂いだけでいい焼き加減だとわかるぐらいのローストビーフの香ばしい匂いに誘われ、家族が自然とそこに集まる…

そんな空間を僕は目指しているんだけど渋すぎるかな。さて、スケッチを描く前に頭の中のキャンバスが真っ黒になるぐらいドローイング愉しみながらやろうかな。じゃあ