時代遅れと言われようが…(AUDIO編)

2016.09.24

時代遅れと言われようが…(AUDIO編)

僕が確か中学生の頃だったと思う。約36年ぐらい前、かつてない程のオーディオブームに沸いた時代があった。海外の高級ブランドはもとより国産専門メーカーや、これまで製造すらしていなかった家電メーカーもオーディオ事業に参戦し、スペックやデザイン、価格を争っていた。今のデジタル中心の時代から振り返ると何とも哀愁を帯びた内容の話になるが、今回は大好きなオーディオについて少し書きたいと思う。

そんなブームに乗り、中学生の僕も大人に負けまいと投げなしの小遣いを片手に色々と試行錯誤を繰り返す日々を過ごしていた。まず、最初に手掛けたのがスピーカー作りである。スピーカー作りといってもスピーカーの箱を作るといった方が正解かもしれない。当時、ホームセンターにもオーディオ自作コーナーがあり、そこでウーハー、ミッドレンジ、ツイーターを買い揃え、設計図を起こし、ベニヤ板を加工し、防音はグラスウールを充填して、自分なりに完璧なスピーカーを作った。父が自営の大工だったので、材料や道具は豊富にあったことも没頭することに油を注いだことになった。

次に手掛けたのがアンプ作りである。各端末を繋ぎ、それらのコントロールを専門にするのがプリアンプ。出力を専門にするのがパワーアンプ。それらを一体にしたのがプリメインアンプで、本格的なのはセパレートなプリ、パワーを分けたアンプ。

僕はその本格的なアンプ作りを選択した。この頃から割と本格思考であった事を少し自慢しておこう。

しかし、その意思とは裏腹に徐々に訪れたのが、オーディオ製作資金難問題である。アンプの部品は非常に高く、部品以外のツールを揃えるだけでもかなりの出費になった。僕のオーディオ製作資金の出所は、お年玉貯金に父の手伝いのバイト代、夏休みにやったハウスクリーニングやエアコン取付補助のバイト代のみ。

湯水の如く流れる部品代を上回る資金を確保することに断念をして、中途半端な僕のオーディオ自作計画は終わった。その苦い思いもあってか、黄金時代に輝きを放っていた名機を見ると欲しくなり、ついつい中古で買いまくり、気が付けば置き場所も無くなり、完成したお客様にプレゼントをしたりオブジェにしたりと、それはそれで楽しくも苦戦している。

レコード、カセットテープ、CDすら存在せずデータというカタチに変わって流れる音の時代において、古いオーディオならではの重く熱い音に耳を傾ける初秋の夜。ライフスタイルに関わるモノが便利になり過ぎている社会に反抗するのも楽しいよね。さて、そろそろドリップした珈琲でも淹れるか。じゃあ

あっそうそう、この「時代遅れと言われようが…(◯◯編)」をシリーズ化しようかな。笑