小さいからこそ最高の家(Vol.3)

2016.09.04

小さいからこそ最高の家(Vol.3)

「小さいからこそ最高の家」というタイトルで書くのは今回で3回目。
ミニマルライフを私は勝手に「本当に好きなものだけで暮らす」と定義付けているわけですが、好きなものだけ身の回りに置いて生活するということは、当然無駄なものがなくなるわけで、生活の場もコンパクトで済むということ。

洋服や食器なんかも本当に気に入ったものだけしか置かないということであれば、その分、収納スペースが少なくても問題ないということなのだけれど、この「収納」という言葉が厄介で、家を建てるとき、「収納は広い方が良い」と、必ず要望がある。もちろん、収納庫は設けるべきだけど、それは最小限で良いはずなんです。

多ければ多いほうが良いと言われるものの代名詞、コンセントを例にあげてみる。

自宅を思い出して頂きたいのだが、この一年、一度も使っていないコンセントが必ずあるのではないか。
もちろん邪魔にはならないし、価格も高いものではないので、それはそれで良いのだけど、これが収納庫となると話が違ってくる。一坪のウォークインクローゼットを作れば数十万円の費用はかかるし、収納する場所があるということは、無駄なものを買い込んでしまう原因にもなる。収納スペースは本当に必要なものだけを想定し、何をどこに収納するのかを十分に検討しながら計画することで、最小の面積で必要十分な収納が実現できる。ただ、それには数十年の長い目でライフスタイルを熟考しなければならない。

子供が生まれて、手狭だから家を。。と考える場合もそれはきっかけであって、いざ本格的に計画を考えていくときには、子供が小学校にあがったら、大学生になったら、結婚して家を出たら子供部屋はどんなふうに使うのか。自分たちも歳をとって、定年を迎えた後、どう暮らすのか。本当は老後の生活までも思い描きながらの家づくりが必要なんです。

人生とその時のライフスタイルをしっかり考えることで必然的に住まいのあり方が見えてくる。すると真に必要な機能と広さが見えると同時に、プラスアルファでもっと普遍的な何かが見えてくるはずです。きっとそれが住まいで真に大切なことなんですが、その話はまた次回。