富山市「造園家の家」上棟


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2017.01.08

富山市「造園家の家」上棟

今年初めの大きな行事である上棟を、見事に雲ひとつない澄み渡った青空の下、滞り無く行われました。骨組みの間から望める立山連峰の雪を冠った雄大な風景に、ここが富山なんだ、これが富山なんだと、胸を熱くしながら眺めておりました。

申し遅れました。改めまして、あけましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年も変わらぬお付き合いを戴きますよう、よろしくお願い申し上げます。今年の目標は、全てのことに対して「挑戦」。果敢に攻める一年にしたいと思います。 

さて話を戻します。この「造園家の家」ですが、建物のタイトルでおわかりのように、造園家がこの家のオーナーでして、とてもこだわりの強い方です。全く関係はありませんが、僕と同じ誕生日の方です。笑

弊社設計の建物の造園工事は、基本的に彼に依頼している、僕にとっては弟のような存在の彼の家だけあって、その内容は今回のBlogだけでは説明できないかもしれません。

まず、デザインについての話をしましょう。まず、この建物が位置する富山県の大沢野地区は、写真でもおわかりのように立山連峰を眺める、障害物の無い平地であります。だから、立山連峰や富山の岐阜の県境の山から吹き下ろされる風がとても強く、信じがたいと思いますが、台風を超える風が吹くことを考慮して風の流れをかわすようなデザインを意識しました。(スケッチにあるように屋根から斜めの外壁になっている部分)

外部に対しては、割と閉鎖的な雰囲気を醸し出していますが、それも自然との関わりを考慮した結果のデザインです。富山は夏は湿度が高く(フェーン現象もある)冬は積雪1メートルにもなり、一年を通して非常に厳しい自然環境です。

開口部の位置、大きさ、種類を選択したので夏は涼しく、冬は暖かい家になるでしょう。(多分)

そして、次に説明すべきポイントは素材でしょう。この家を建築する工務店は地元の風土を知り尽くした昔ながらの大工さん。これまで、総合請負の施工会社に依頼していたので、棟梁であり社長であり、人生の大先輩となる方とのコミュニケーションは、いつも通りに監督に指示をしていたら伝わるという次元では無く、体を張って伝えなければわかってもらえないような雰囲気なので、まずは自ら職人の輪っかの中に入るところからトライしております。笑

そんな棟梁なので、使う材料は互いに打合せをして現物を確認して決めました。目玉は曲がりくねった丸太の梁、それを受ける丸太の柱。それ意外の構造体は集成材のプレカットを使用するので、この手加工した梁との取り合いが心配でありましたが、なんのこともなく見事にがっちりと組み上がりました。

特徴的な屋根を受ける下地に対しても棟梁のこだわりが。通常、合板を屋根下地として敷き詰めることが多いのですが、今回は昔ながらの野地板(無垢の板)です。長年にわたる湿度や、温度変化による材料の伸縮などに対してこの方法が良いと!棟梁が自信をもって進めてきた材料としました。

クロスや人工的な素材は極力使わず、壁面は左官、塗装、そして造園家の家らしく石積みなど…時間を掛けてゆっくりと味わい深くなる素材ばかりとなります。そんな豊かな空間に置かれる家具やインテリアもとても大切な要素となりますよね。長く大事に使うモノだからこそ、いいモノを提供できればと今も色々と考えています。

そして、空間の雰囲気の話になりますが、玄関ホール兼、造園業を営む彼のギャラリーでもある商談スペースにもなる土間の部分には、薪ストーブが置かれ、そのストーブ越しに立山連峰を眺める。リビング、ダイニング、キッチンと6帖の和室からなる大空間は、どこか懐かしい雰囲気の「和」の要素がありながらも、スッキリとした部材の構成から現代的なモダニズムを感じる。…そんな家になるのでしょうね。

最後の写真を紹介をさせて頂き終わりますが、左から「立山連峰を眺める家」ことCAFE RIMOTAIL。真ん中のニョキっと宙に浮いたコンテナは、犬のトリミングサロンのBARBERDOG。そして今回の「造園家の家」 全て佐々木が携わらせて頂きました。笑