Mario Belliniデザインのolivettiタイプライター


シリーズ時代遅れと言われようが…

2017.02.26

Mario Belliniデザインのolivettiタイプライター

「時代遅れと言われようが…」シリーズ第三弾(オーディオ、車に続き)は、なんとタイプライターです。パソコン、スマートフォンなどが全盛期の、かつペーパーレスの時代において、直接紙にタイプをし、打ち間違いを「delete」キーで消せない、つまりタイプミスを許されない緊張感のあるタイプライターを今回ご紹介いたします。

写真の製品は、巨匠マリオ・ベリーニがデザインをした、確か1970年代にオリベッティ社から発売されたタイプライターです。

どうでしょうか?美しいカーブと直線で構成されたオブジェとしても美しいデザインで、今でも多くのタイプライターファンから支持をされているolivetti LETTERA35です。イタリア製らしくカラーバリエーションも豊富で、レッド・イエロー・グリーン・ピンクや淡い中間色など、ファッショナブルなカラー展開も魅力のひとつでした。

olivetti LETTERA35

その愛くるしいデザインとは打って変わって、性能はやはりタイプライターのトップブランドであるolivettiらしく、スムーズな動作やタイプの正確さやタイプ音(これがいい音なんです)、味わいあるフォント…どれをとっても素晴らしく、やはりよく言う「機械ものは触ってみないとわからない」とう言葉がストレートに感じるのは、こういったアナログなマシーンだからでしょうね。ちなみに僕が中学生の頃のカセットテープ全盛の時代は、タイトルや曲名のラベル打ちによく使っていました。例えば「シクラメンの香り」なら「shikuramen no kaori」のように。笑

タイプライターが好きな方がよく仰る「パソコンは3年も経てばただのゴミ。しかしタイプライターは30年も経っても現役」という言葉。確かに最新のパソコンを買ったとしても、日々刻々と変化するアプリケーションや、そのアップグレード。脳であるOSが変わればボディであるパソコンがついていかないからそうなります。

常に最新の状態に保つ為にお金と時間とエネルギーを要する事と比較すると、何と!タイプライターは優れているんだ!と感嘆してしまいます。しかも、パソコンはプリンターが無ければ出力が出来ないし電源も必要になり、それらがセッティングされた場所じゃなければ全ての作業が完結しないとなると、軍配は…タイプライターと言いたいところではありますが、やはりパソコンなんでしょうね。笑

nu salonにはMario Belliniがデザインしたcassinaの椅子5脚が置いてあるので、この場所では事務機器としてのタイプライターではなく、マリオ・ベリーニコレクションとして皆様の興味をそそられながら静かに過ごすことになりそうです。とは言うものの時間を見つけて、タイプした時の指のいい感覚と独特の金属音を楽しみながら使おうかと密かに考えています。

最後に。 あまり建築設計とは関係なさそうな、この「時代遅れと言われようが…」シリーズブログは、弊社の本社であるnu bldg.のコンセプト。「現代的で新しい要素NEWと、時を経て使い込まれた存在感USEDの相反するテーマの融合」が弊社の設計スタイルでありコンセプトですので、これからも“味わいのある豊かな暮らし”を積極的にこのブログを通してお話させて頂きます。

最後までお読みくださりありがとうございました。じゃあ

注脚)オリベッティ(olivetti)イタリア・ピエモンテ州イヴァレーアでタイプライターの製造販売会社として1908年に創業された会社。現在もタイプライター、売上げ管理システム(POS)やプリンター、コピー、パソコンなどの製品とシステムソリューションの事業を行う。イタリアを代表する歴史的な会社である。

日本では1961年(昭和36)に100%出資の子会社として日本オリベッティが設立されたが、本体事業構造の転換により、オランダ・アムステルダムに本社を置く情報通信技術会社ジェトロニクスGetronicsに1999年(平成11)に売却され、社名も2002年4月ジェトロニクスに変更された。さらに、2007年にNTTデータが同社を子会社化したため、社名をエヌ・ティ・ティ・データ・ジェトロニクスと改めた。