コストコントロールという技術

2016.06.04

コストコントロールという技術

家つくりにおいて避けて通ることのできないコスト。

長く蓄えた自己資金。これから長く返済を続ける住宅ローン。それらの意味の重みは十分に感じながらも、理想を追求する姿勢で臨むのが家つくりと言えます。もちろん、必要以上にローンに恐怖を感じる必要はないとは思いますが、決して無駄に使いたいものではありませんね。

現在進行中のY様も、通称トチタビ(土地探しからの家つくり)から計画はスタートしたのですが、コストコントロールは難航しました。目標金額に向け、様々な検討を重ねました。建築の規模、仕様などはもちろん、施工会社へのアプローチ方法(実はこれがとっても重要だったりするのですが…)まで、とことん慎重にならざるをえません。ただ、単に建物を小さくする、仕様をダウンさせるだけでは、計画そのものの意味合いを薄くさせてしまします。理想の中枢となるポイントを損なうことなく、無駄を省き、ストイックなほど検討を重ねる様は、まるでボクサーの減量のような気がします。しかし、その結果、隙のない美しい「カタチ」が出来上がったりします。

このコストコントロールというのは、言葉にすると簡単に流されそうな言葉ではありますが、とても技術のいる作業です。経験にて培われるものでもあります。「まあ何とかなるだろう」という思いは、結果なんともならないのがコストコントロールなのです。

計画当初からの予算配分、つまりは建築以外に必要になるに違いない項目の検討から始めないといけないし、ただ単に予算内にさえ入っていれば最高な結果になるとういうわけでもないですから、お客さん以上に、自分の立場に置き換え、考えるところから始めなければいけません。

資金計画を総合的に考え、その金額の中で最高のバランス、コストデザインを施し、必ず実現化させる。

そのために必要なのは、「意識」です。

Y様邸も、無駄と思える部分は、徹底的に削除しました。そして必要な要素は必ず残しました。結果、資金計画は実現可能なものとなり、現在地盤補強工事中です。(この地盤補強工事にも悩まされますが…)徹底したコスト意識を持ちながら、前向きに考えることが、コストコントロール向き合うことになるのではないでしょうか。最後、建物が完成し、その過程をほほえましく振り返ることができる、僕たちは、これをコストコントロールの目標として、日々、歯を食いしばって、様々な要素と闘い続けているのです。