人生というワイディングロード

2016.06.08

人生というワイディングロード

なんか格好いいタイトルを付けてしまったが、これからの話に適したキャッチを考えた結果そうなってしまったので勘弁してね。ご存知の方も沢山居ると思うが、富山にて設計監理の仕事を依頼して頂くようになってかれこれ3年になるだろうか。北陸スタジオを開設して2年と1カ月となるが、本当に有難いことだと富山の皆様には深く感謝している。

「北陸スタジオ」と言っても実はあまり使っていない。それはコンテナを改造したオフィスであるが故に、気象条件をモロに受けることになり、つまり冬は凍てつくような寒さに、夏は外の方が涼しいと感じるぐらいの灼熱地獄。こんな環境で打合せやデスクワークなど出来る人間が居たならば多分スーパーマンであろう。

と言うことで、図面は名古屋スタジオのチームで作図し、クライアントとの打合せや現場監理は名古屋から行っているのが現状である。打合せは多少、日程調整は出来るが、現場監理は待ったが効かないので、ほぼ毎週 名古屋~富山往復の日々を過ごす。当然ではあるが移動する道のりは高速道路(東名高速道路-北陸自動車道-東海北陸道-能越自動車道)を利用して行き来していたが、あるタイミングで時間は掛かるが下道で行くようにした。冬季のチェーン規制という状況でなければ。

そのタイミングというのが、実は僕の誕生日を境になんだけど、普通は逆だよね。歳をとれば楽をしたいのが普通だもんね。因みに高速道路を利用すると約3時間。下道だと5時間~6時間掛かる。下手すると途中どこかで油を売ったりしたもんなら7時間コースになるね。笑

若いつもりで走り回っていて自分の歳なんて特に意識はしてなかったが、それでも節目の50歳を迎えた時に、普通に真面目に人生について考えてみた。しかし、 何を考えてもリアルに自分の歳を意識して導かれるようなストーリーは考えれない。ならば、好きな車に例えて考えることにしたところ、これまでと違う道のり を選ぶという妙な選択肢を意識してしまった。

車と人生とを比較して考えるなんて馬鹿な事だけど、僕にはそんな考えが性に合っていて考えてれば考えるほど楽しくなり、かつ実践をしたくなってしまったという訳だ。

これまでは、スピードと利便性を考えてゆったりした車で移動していた。それは考え方のベースに、沢山仕事をこなす為には与えらた時間を一秒も無駄にしたくない、体力も無駄なエネルギーを一切使いたくないという知らず知らずに身に付けてしまった意識という癖だと思う。

しかし50歳となった今、そんな昔の癖を引きずって、同じような事をすることなんてナンセンスであり、自分の歳に相応しいアクションが一番素直で楽ではないかと考えた結果…そう下道でノンビリと風景を眺めながら小回りの利く25年前のヴィンテージのアルファロメオを操り移動する道のりを。

目の前の風景しか目に入らない直線的な高速道路では気がつかなかったことが、あまりにも多い事に今さらながら気がついた次第だ。

いつも立ち寄る道の駅(林林)飛騨高山の中華蕎麦は抜群!富山ならではの紅ズワイ蟹(安い!)41号線から一歩入ったところにあるRIMOTAILとBARBERDOG(当社設計)

美しい風景の場所で立ち止まりボンヤリ景色を眺めたり、いつも立ち寄るその土地の人との会話や、美味い郷土料理に舌鼓など、人生ってスピードじゃないし利便性じゃないと、この歳になったからこそ今ではそう思っている。

岐阜から富山の山間を縫ったような41号線のアップダウンの激しいクネクネ道を、ノンビリと走る50歳の僕と古い車。人生というワイディングロードはまだまだ続きます。慌てない慌てない一休み一休み。笑