伊勢ハンドワークベースのはじまり vol.3

2016.06.21

伊勢ハンドワークベースのはじまり vol.3

とうとう古民家を手に入れた。奇跡の分割払いだけれど…

そのものを理解する最善手は分解することだと言われているが、ここもそうだった。手始めに、天井の解体をしてみた。ものすごい量の埃が降りかかってきて、一瞬で真っ黒になってしまった。天井の目的は意匠でなくて粗隠しの蓋だと実感した瞬間だった。半分やけくそで天井の解体を続けていたら、想像通り、素晴らしい小屋組みが出てきた。馬の胴体ほどもある丸太の梁が単純かつ豪快に組まれており、その迫力は現代の建築構造ではほとんど見かけないものだった。ちなみに、天窓も出てきた。歩けるような床組みはなかったので、そもそも建築当初は天井板はなかったのだろうと推測できた。ちなみに妻も積極的に解体作業を楽しんでくれた。

出てきた廃材は燃やした。徹底的に燃やした。裏庭のほうに大量の瓦もあったので、簡易的に炉を作り(ちなみにこれは知らない間に妻が作っていた。なかなかセンスがよろしいですな…)、少しづつだけれども、連続的に燃やした。

 

 

とても気に入っていた炉になったのだけれど、やはり小さすぎるので、その後、大きな炉に作り替えた。次の写真がそれだが、大きすぎたかな?なんて気もするが、バランスはとれていた。実はこれも、現時点では無くしてしまった。一部の瓦が熱により割れてしまい、みっともなくなってしまったから。結局は、石のみ積み上げた形で現在に至る。

行き当たりばったりの手探りの遊び・・・・

この場所を伊勢ハンドワークベースと名付けたのは、この頃だった。

 

自らの手で、試行錯誤しながら、とりあえずなんでもやってみる実験場のような場所になるといいかなと思った。そのとき、ふと思い出したことがあった。そういえば小学生だったころ、僕は大工さんになりたかったということを。好きなものを好きなだけ実験できる理想の大工さん。職業にはできないけれども、忘れかけた夢はかなったのかもしれない。そしてやはりこの場所は僕にとって、生涯の特別な場所になった。