前代未聞の木材不足について考える


現物確保困難で受注制限の波

2021.04.11

前代未聞の木材不足について考える

ここ昨今、新聞やニュースなどで取り上げられる程の大きな問題になっています「木材不足」についての状況をお話いたします。

木材不足が言われ始めた(私は初めて聞いた)のは今年の初め頃でした。その時は伝えてくれた工務店も、そこまで大きな問題として捉えていなく、聞いた私もそのように感じていた程度でした。しかし、月日が経つにつれ、徐々にその声が大きくなり、強くなり、気が付けば社会的な問題まで発展している事に。 

何故、日本の木材が不足しているのかの理由ですが、一言でいうと、当然ですが日本に入ってこないからです。

全世界的に新型コロナウィルス感染症が拡大し、発生地と言われる中国は、いち早く封じ込めに成功し経済活動を再開し需要拡大し、感染症が加速度的に拡大したアメリカは、政府の政策や在宅生活の広がり、歴史的な低金利によって住宅市場が拡大しました。

それに加えて問題になっているのが全世界的な「コンテナ不足」です。これにより積み遅れ、積み替え停滞、滞留、入荷遅れと、流通も追い打ちをかけて木材不足を加速的なものとしています。

さらに、産地側が新規のオファー数量を減らすという悪循環までも起こっています。

これらの問題が今回の供給不足、産地価格の急騰の構図ではないでしょうか。アメリカ産、欧州産、ロシア産、ニュージーランド、チリ産など全て歴史的な高値となりました。当然ですが、代替材として、足元の国産材も急騰していますので、国産材に切り替えるということも簡単ではありません。

建築設計業に携わり30年、設計事務所を開設して21年となりますが、このような状況は初めてのことです。これまでにも色々な災害や経済、環境問題等で材料の入荷や高値などを多く経験しましたが、それらは理由が明確であり、終結する予想がたてれましたが、今回は先が全く見えない状況です。

これから着工する案件が、足踏みをしながら待っている状況で、進捗状況を工務店に確認をしていますが、工務店としても材木屋に確認をする日々で、材木屋は商社に確認をするぐらいで、何か新しい情報が上がることはありません。このような状況ですので、プレカット業者は今月から受注制限をもうけました。

今、住宅建築業界に何が起きているのか、先が見えるのか、とても不安であり心配な状況です。