つまり、CGはコンピュータで製作するので、決まっていない部分は当然反映されません。例えば、屋根のデザインの一部を悩んでいたとしましょう。手描きのスケッチであれば、何となく線で誤魔化すことも可能ですが、CGはそうはいきません。
全て形状や色や質感まで決まっていないと入力できないので、この時点では(基本案を構築している初期段階)適当にならざるを得ません。それはそれで良いのですが、実は問題はこの完成したCGをお客様がご覧になってからなんです。
まるで実際に建っているように表現されたCGをご覧になり、全ての情報がこの一枚に凝縮しているので、完璧であると思い込んでしまうことです。僕が悩んで指示がなかった部分を弊社のパーサー(パースを描く人間)の榎本が上手く調整をし、いかにも実際のように作りこむ。でも、実際僕は悩んでいる・・・
その悩みを解決して、いざ再び提案するとなると、以前に提案したCGのインパクトがあまりにも強くて、自分が考えた案でありながら、その設計者の案を越えるハードルが意外と高く、その表現方法が正しいとか否か考えてしまうという訳です。
ありがたい筈のCGがこんなにも自分自身を苦しめるツールとは使うまでは考えもしませんでした。(かなり大袈裟ですが)