生活を豊かにする(料理編)


「食欲の秋」です。

2022.10.16

生活を豊かにする(料理編)

生活を豊かにする(料理編)

建築設計では間取り、デザイン、内外装、設備など空間を構成する上で、空間に必要なモノをプロットをし、無から有へとカタチを整えていきます。それらのスキームはオートマチックでも、過去の事例に基づいて行うという流れでは全く無く、その家に「住まう家族」皆様のご意見と設計者の創造など色々な角度から調整をし決めていきます。

今回のブログは、家の中でも中心的な役割りを求められる「キッチン」についてのお話しです。ここ昨今、キッチンについて求められる要望、要素が時代の流れもあってか、以前の多様な考え方のキッチンと比較して、何となく偏っているように感じたりします。

と言いますのは、まるで家具のような佇まいの「美しさ」を求める傾向です。いや当然ですが機能面も追求をされますので、言い換えると「機能美」です。

■デザインと機能、作業性を兼ね揃えた幅3,600のキッチン

それはそれで理想的なぐらい素晴らしい事だと思いますが、しかし、その「機能」という部分に感じるのが、キッチンのメインである「作る料理」がイメージし難いと言いますか、料理を割と簡易的な方法で考えていらっしゃるように思える点です。

簡易的な方法という言葉ですが、調理に必要な材料を既製品で頼っているのでは?という点です。調味料も出汁も、食材を加えるだけで簡単に料理が出来るものや、まぶすだけで美味しい唐揚げだとか(笑)、便利さと同時に「家庭の味」が規格化されていることに将来的な不安を覚えざるを得ません。

今では高級レストランやこだわりのお店以外の多くの外食産業も、そのような調理がスタンダードとなっていますので、今お話しをしていることが時代錯誤的な古臭い考えかも知れませんが。

例えばですが、鯛を三枚におろすという調理の流れを考えると、鱗を取り包丁で頭、身、腸などを切り分けます。頭や骨身はあら汁にしたり、アクアパッツァの出汁などに、身は刺身やソテーなどに。また生パスタを作ろうと思えば、セモリナ粉を卵黄と混ぜ数時間ぐらい生地を寝かしてから伸ばして切ります。

それらの作業を想像するとキッチン周りは大変な状況になると思います。

■生パスタの調理の様子

オーダーキッチンは色々なレイアウトや寸法を造作する事が出来ますので、つまりは、その作業などを考慮してシンク、作業スペース、蛇口や水栓金物、コンロなどを配置されているのかどうかを考慮して製作する事が出来ます。

魚の切身や調理済みのものや、パッケージされたに生パスタをスーパーマーケットで購入して料理するなら「既製品」のキッチンでも特に問題は無いと思いますが、せっかくオーダーキッチンにするなら色々と考え抜いて究極のオーダーキッチンを目指しては如何でしょうか。

キッチンのデザインや掃除のし易さ、短い動線も大事ではありますが、基本的に料理を作る上で、下処理や調理も考え、「料理」の作業がとても楽しく、美味しい「家庭の味」の料理が中心となるような豊かな生活を過ごして欲しいと感じております。

■レストランの厨房例

レストランの厨房とまでは大袈裟ではありますが、しっかり調理の出来るキッチンをお勧めしたいと思います。今回は、季節柄「食欲の秋」にちなんだブログでした。