桑名市 「鋳造体験工房」いよいよ終盤


今回の仕事を振り返って

2023.04.08

桑名市 「鋳造体験工房」いよいよ終盤

かなり久しぶりとなりましたブログです。今回は桑名市にて建築中の「鋳造体験工房」のお話を。

以前にも少しお話をさせて頂いたと記憶しますが、この建物はコンペティションにて弊社が選ばれ業務を請け負うことになった案件です。皆様同じ条件の中でデザイン面や機能性を競って受注した訳ですが、弊社の案のどこが良かったのか今でもよく理解していません。 

コンペというのは料理に「味の答え」が無いように、全てが正解であり全てが間違いであると思っています。その方の味覚に一番適した料理が美味しいという事になるという事です。

建物を設計する際に、どんな案件でも設計者自身が指標となるコンセプトを設けます。コンセプトと言っても格好良いワードとかではなく、設計方針といった方が正しいかもしれません。

これまた料理に例えて話をすると、千円とスパゲティと3万円のコースの中でスパゲティでは素材も調理法もドレッセ(盛り付け)も異なります。

シンプルなアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノは、毎日食べても飽きのこない美味しさですし、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノをベースに伊勢海老や帆立などの高級素材を入れても贅沢な美味しさです。シェフはどのタイミングで全体の構成の中で、どのような素材、調理法、盛り付けなどを考えるのか。

当然、料理をする前に全て頭の中に入れてやると思います。建築も同じです。与えられた予算感を頭の中に入れて、素材や調理方法、ドレッセを考える。これが設計方針という感じであると思います。

それがあることにより、設計図を描くができ、進めていくうちに設計に迷いが生じた場合も、それと照らし合わせてベクトルを調整することも出来ます。

今回の設計指針としては、「限られた素材での美しい表情」「それらの素材が美しく造形される」ことでしょうか。

弊社の設計方針は、この案件に限らず基本的に同じではありますが、鍋料理のようにベースの出汁の中に色々な食材を入れ、食材からまた出汁が出て味が変化していく、最後は全ての食材の味が出た出汁で雑炊やうどんを入れて〆る。そんな建築も面白そうね。では、また機会がありましたらお話しますね。