施工金額が高くなる理由は色々と複雑な要素が絡み合います。まず、契約当初と比較して、材料単価の高騰、需要と供給のバランス変化に伴う人員不足によるもの。(建築業界全体が人手不足です)、首都圏ではオリンピックに備えて、かなりの急ピッチで大型建築はもとより、改修工事などの小規模な工事まで非常に多くの工事があり、それに伴う材料及び人件費の高騰が大きく影響をしていると感じています。
次に、意外と見落としなのが建築設計事務所の場合、設計図を描き、それを現場監理という業務で実際の施工を比較をし監理する。つまり設計図書通りに作らなければならないので、施工会社としては現場で何かが発生したとしても、それを吸収するリスクヘッジ分のとしての予算を組まなければならない。設計施工の場合であれば、臨機応変に対応できることもそうはいかないという不安材料としての値段である。
最後は、当社の場合は前述したように年間の仕事の多くは木造住宅なので、仮に今回はお値打ちに見積もりを出したくても、今後の取引で鉄骨造の仕事の依頼がある可能性が少ないのでそうはならない。それも立派な理由である。
そうのこうのと胃に穴が開く思いでこの数ヶ月間、色々な施工会社と見積もり依頼→調整→再見積もり→調整→振出しに戻るという繰り返しであったが、それに終止符を打ってくれる一言を、先週状況報告にあがった際にオーナーから頂いた。
「こんなもんでしょう。安くするような調整もいいが、佐々木さんに頼んだ以上、最初のあの計画通りにしてください。任せていますから」と
予想もしなかった何とも有難い言葉を頂き、久しぶりに心が震えた。僕はオーナー様から一発二発のパンチは覚悟していたし、(冗談ですが)自分の当初の予算感の甘さに自虐的になっていた。