伊勢ハンドワークベースから~イカリの話~

2016.07.15

伊勢ハンドワークベースから~イカリの話~

伊勢ハンドワークベースは山の中にありますが、志摩の海までそれほど遠いわけではありません。志摩の海岸線は入り組んでいて、如何にも生活に密着している様子が感じられるのですが、寂れた漁村感はなく、「海が見たい!」という衝動に対しても100%で答えてくれる雄大さも兼ね備えている、そんな素敵な場所です。当時は、時間があると海岸線を散策し、ゴロゴロ転がっている牡蠣を拾い食いしながら、原始人のような振る舞いをしながら、自然を満喫しておりました。

ある時、海沿いを走っていたら、古く捨てられたようなイカリをふと見つけ、そこにある風合いに思いを巡らせたりしてしまったりしていたものです。雄大な自然の中での時間経過を瞬間的に実感できる存在感は、綺麗だとか汚いだとかという問題ではなく、魅力を感じました。これを家に持って帰ろうという感覚はありませんでしたが、

「そういえば佐々木兄さんがインテリアに欲しいって以前言っていたような・・・」

急に思い出し、これは勝手に持って行っていいものか10秒ほど迷ったんですが、「もしかしたら、誰かの大切なものかもしれない…汚いし、いかにもほったらかしだけど…」と思い、隣にある民家に話をしに行きました。

最初は、いかにも怪しく思われたような表情をされていましたその方でしたが、話は進み、僕の話をしっかりと理解してくれました。それで、「これっていただけないでしょうか?」と最終的な言葉を投げかけたら、即、「ただで?」との言葉・・・。「ハイ…」と負けずに即答したら、「それは無理だね~」との最終回答。そこから大人な会話が続き、結果、1,500円で売ってもらうことになりました。でも、1,500円で買ったということを知られると、プレゼントするつもりの佐々木兄さんは気にしてしまうことが想像できましたので、ただで貰ったという形にしてありますが…こんなところで変な暴露をしてしまいました。というわけで、このイカリは、現在佐々木兄さんの自宅のどこかにあると思います。

でも僕は、そんな出会いや、やり取りそのものがとっても好きだったりします。偶然を奇跡と勝手に決めつけるピュアさと傲慢さがそうさせるのでしょうかね?

山に籠って人を避け、出会いを求めて海に行く

ないものねだりをすぐしてしまう、基本的に寂しがりやな僕は、常に出会いを求めています。屋根に登ってアンテナ張って!