週末はセカンドハウスで暮らす(第二話)


新しい生活スタイルのご提案

2022.05.30

週末はセカンドハウスで暮らす(第二話)

第一話では、本宅とは別に、別荘(セカンドハウス)所有をしませんか?という投げかけ提案(https://www.icaa.jp/blog/616)と、別荘を持ついくつかの方法をご説明致しましたが、今回のブログでは、一般地に建つ古い建物とはどんな場所なのかを、建築設計事務所サイドから考察した内容を、個人的な経験、感覚ではありますがご説明します。

最初に、一般地(ここで言う別荘地以外の場所)に建つ古い建物についてお話を致します。別荘地以外で「海が見える場所」を探すと、大きく分けて3つあります。

まずは、漁業関係の皆様が昔から住まわれる地域です。古くからその場所で漁業を営んでいる場所なので、別荘というイメージとは異なりますが、とても風情があり人情味が溢れるところが多くあります。

それがメリットなのかデメリットなのかは価値観や考え方、そこでの暮らし方によって変わりますが、まず言えることは、道がとても狭いのと、周辺に生活基盤を支える施設(コンビニ、スーパー、ガソリンスタンドなど)が少ない事が言えます。

*南伊勢町の漁港(三重県)

そして建物は、とても古い案件が多い傾向があり、築50年、60年はざらで、築100年というヴィンテージすぎる程の建物も多くあり、構造的には本宅は木造建築、納屋や魚加工するような作業所が付帯する場合は補強コンクリートブロック造も中にはあります。(現在では使われない構造体です)

間取りは、和室を「田の字」で構成された大きな家も多いです。「田の字」というのは、例えば6畳の和室が田の字型に4部屋設けられ、冠婚葬祭、親戚縁者が多く集まる場合に、襖を取り外し24畳の大きな空間を作ることの出来る、日本民家の定番のスタイルの間取りです。

現在の建築基準法と照らし合わせると、構造的には当然アウト、断熱防音もアウト、水回りもアウトですので、リノベーションも内装だけではなく、それらの部分の改修予算を考えておく必要があります。購入価格は低く抑えることが出来る物件が多いですが、その分 工事に掛かると思われます。

シンプルでコンパクトな別荘スタイルを希望するなら、広い部屋の使い方や工事金額的にデメリットになる可能性が大となりますが、日本の家屋のスタイルを活かした古民家リノベーションを好む方には良いかもしれません。

*伊勢市の築150年の古民家(三重県)

別荘地以外で「海が見える場所」の二つ目としては、郊外のロードサイドや海水浴場にある店舗(店舗併用住宅も含む)であった物件です。これに関しては、店舗として何の商売に使われていたによって、大きさや建築内容の推察はできませんが、メリットとしては漁業地域と比較して、道路環境が良いのと場合によっては「商売」も出来るという点ですが、デメリットを言うならば、「別荘=奥ゆかしいひっそりとした場所」というイメージでは無い場合でもあると思われます。

そして、最後の三つ目は別荘地では無く、「元別荘地」と言う場所です。高度成長期時代に日本中数多くの別荘開発がされましたが、それらの大半は管理をする会社が倒産や解散、権利譲渡などをしました。

本来であれば、別荘地は開発会社が設けた道路(私道)、水道設備など管理維持をしますが、それが出来なくなった場所では、市町村が変わって行っている場所もありますので、前回のブログで説明をしました「管理費」の支払いはありません。

*昭和40年初頭の別荘建築(岐阜県)

開発そのものは昭和40年前半(1970年前後)が多いので、建物も50年を超える建物が多いです。元々、別荘地として開発された場所ですので、海や森などの自然環境には優れており、風景的にはとても良い場所が多いのでが魅力です。

これらの場所は山林を開発したところなので、とても傾斜があり、道路も決して広くなく(それでも4メートルはある)、一概には言えませんが、道路レベルが2階、その下が1階という建物や、道路から30段ぐらい外部階段を上がって玄関に入るという、傾斜地ならではの断面的に複雑な構造を持つ建物が多く存在します。

建築的には魅力的な土地にはなりますので、メリットとデメリットは紙一重的な部分もありますが、このような場所は決して便利なエリアではありませんので、アクセスを十分確認する必要はあるでしょう。

皆様は「海の見える場所」の三つのどれがピンとしたでしょうか?

第三話ではどのような建物をベースにすれば良いのか、リノベーションでどこまで出来るのかをご説明致します。次回またお会いしましょう。

*これまでに訪ねた別荘地建築より